タグ:モーツァルト

先日、オーディオ・ショップに行ったところマリア・ジョアオ・ピリスの弾くモーツァルトがかかっていました。ピアノ・ソナタ 第8番 (第9番?) K.310 (300d)。1974 年、東京はイイノ・ホールにおける録音です。音がフォルテ・ピアノっぽく聴こえたので、オヤッと思い自宅で聴いてみました。

記録によると、録音当時、ピリスは 29 歳。使っているピアノは何でしょう。ピリスは現在でこそ、ヤマハのピアノ弾きとして有名ですが、当時もヤマハだったのでしょうか? それとも、大勢のピアニストと思じようにスタンウェイを弾いていたのでしょうか? 少くとも録音を聴くだけでは、ヤマハかスタンウェイかそれとも別のピアノなのか、私には判断できませんでした (ムムム)。

音楽に耳を傾けてみましょう。モーツァルトらしさから一歩外れた演奏です。テンポの変化、音量の変化は他のピアニストと同じように付けています。標準的と言えるでしょう。美しい音色も文句ありません。それでも、何かが別と感じます。何と言えば良いんでょう。軽い? そう軽いというのが一番しっくりくるかもしれません。音楽がフワリと軽くなっている様に聴こえる不思議な演奏です。

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モーツァルトの交響曲 第40番をカール・ベーム指揮ベルリン・フィルの演奏で聴きます。

ベームによるモーツァルトの交響曲全集 (10 枚組) からの 1 枚です。私が初めてこのボックスを聴かせてもらった時、定価は一万円を越えていました。いつか、一万円を切る時がきたら買おうと心に決めて、そして一万円を切った時に買いました。それほど覚悟のいった買い物でしたが、今では Amazon で 6,533 円という値段がついているのですから信じられません。良い時代になったものです。

ベームの第40番は遅いテンポで始まります。古い指揮者だとワルターやクレンペラーが遅く指揮するものですが、むしろワルターなどは早いテンポで有名な旋律を駈け抜けます。ワルターの演奏や最近の演奏を聴くと、ベームの方が異端に思えてしまいます。初めて聴いた時のセンチメントな気分に戻ってしまっているのかもしれません。でも、あの第40番の美しいメロディー・ラインをゆっくりと歌い上げる演奏は私の心を大きく揺さぶります。アレグロで通りすぎるには美しすぎるモーツァルトのメロディー。それを味わいつくすように奏でるベームの演奏が好きです。

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二日連続で同じボックスから曲を紹介するのは反則でしょうか。気にせず進めちゃいます。

Masters of the Strings から 4 枚目。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第 5 番「トルコ風」。ヴァイオリンはヤッシャ・ハイフェッツ、ジョン・バルビローリ指揮ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団。1934 年の録音です。

1934 年というと 1901 年生まれのハイフェッツは 33 歳。若かりし... といえども技巧は冴えまくり。モーツァルトな音楽というより、ハイフェッツが昇華した音楽という感じです。恐るべしハイフェッツ。録音は古くとも、繊細さも十分伝わってきます。

実はこの CD を初めて聴いた時。なにとはなしに CD プレーヤーにかけたのでした。上手いヴァイオリンだなぁ、などと思いながら BGM がわりにかけていたんです。そして、第三楽章のこの CD だと 3 分 25 秒あたりから。「トルコ風」の聴かせ所ですよ。

何だこの切れ味は!!

驚いて CD を確かめました。そして奏者がハイフェッツだと知ったのでした。納得とともに、快刀乱麻なハイフェッツの演奏にしびれました。聴き直してみると、この聴かせ所に入るまでの導入も味があって楽しめます。というか第一楽章から全部楽しめる演奏です。バルビローリのサポートも好演!

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モーツァルトの歌劇「後宮からの逃走」(もしくは、後宮からの誘拐) のハルモニームジークを聴きます。ハルモニムジークは貴族の家でも演奏できるように管楽アンサンブル向けに交響曲やオペラを編曲したものです。

今回、聴くのはザビーネ・マイヤー管楽アンサンブルによる演奏。編曲はフランツ・ヨーゼフ・ロジナック (1748-1823) です。

後宮からの逃走は全曲で 2 時間超の作品ですが、ここに聴くハルモニームジークは 60 分程度。オペラの良い所取りをしていて、モーツァルトの楽しい音楽がとどまることなく流れてきます。マイヤー管楽アンサンブルは 9 人構成。各人が旋律一つ一つを大事にして演奏している感じで飽きさせません。

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アンバンベルク四重奏団によるモーツァルトの弦楽四重奏曲 K.458 を聴きます。

ニックネームは「狩り」。狩りにも狩猟民族が行なう生活のための狩りから、王侯貴族が行なう社交性のある狩りまで様々です。モーツァルトの「狩り」は王侯貴族らの行なう「狩り」ですね。優雅で、軽やか。CD をかけると音楽が、「久しぶりに狩場でお会いしましたね」と挨拶してくれるような心地良さです。

アンバンベルク四重奏団は、そんなモーツァルトの音楽をスキなく演奏しきっています。高度なテクニックから、四本の弦楽器がお互いを引き立てているのが分かります。交響曲やソナタと比べて弦楽四重奏曲は入門しづらい雰囲気がありますけれど、私はアンバンベルク四重奏団の「狩り」で弦楽四重奏曲の世界へと入ることができました。

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