安宅の音楽日記

タグ:ベートーヴェン

アルトゥーロ・トスカニーニが 1939 年に集中的に録音したベートーヴェンの交響曲全集から第 1 番を聴きます。オーケストラは NBC 交響楽団。

私はトスカニーニのベートーヴェンの交響曲第 1 番が好きです。スパッ、スパッと切り込む演奏が何とも小気味良い。この CD は 1939 年に録音された物としては、良質な音楽を聴かせてくれます。それが、録音のおかげなのか、リマスタリングのおかげなのかは分かりませんが、トスカニーニの「推進力」を損っていないことだけは確かです (ステレオ録音ではなくモノラル録音なのはどうしようもありませんが)。音楽性だけなら、1950 年代の RCA レーベルでの全集よりも高いかもしれません。

機会があれば 1939 年録音と 1950 年代録音の二つのベートーヴェン交響曲全集を聴き比べてみたいものです。

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ベートーヴェンのエリーゼのためにを聴きます。ピアニストはエリソ・ボルクヴァゼ (Elisso Bolkvadze)。CD ではなく MP3 です。Amazon の MP3 ミュージックにて 100 円で購入しました (CD が見つからなかったので)。

きっかけは松本大輔の「クラシックは死なない!」。とにかく遅い演奏として紹介されていました。その演奏時間 4 分 21 秒。当ブログで紹介した「エリーゼのために」の演奏時間を挙げてみます:

  • 3 分 03 秒: シュナーベル (1932)
  • 2 分 28 秒: ギーゼキング (1948)
  • 3 分 16 秒: リシッツァ (2012)

ギーゼキングの 2 分 28 秒は別格として、シュナーベルやリシッツァの演奏は 3 分台。比べてボルクヴァゼの演奏は 4 分 21 秒。圧倒的に遅いのが分かります。

ボルクヴァゼの演奏は遅いとはいえ、手を抜いているわけではありません。ペースは遅いものですが、ちゃんとテンポの上がる所はテンポを上げます。音の強弱も、ピアノの響きもちゃんとコントロールされています。曲のクライマックスに向けて盛り上がります。ですから、聴いていて曲がダレません。遅いなりに、演奏の構成がしっかりしているのです。

ボルグヴァゼの演奏の素晴らしさは、彼女の構成力の高さに寄っているのでしょう。エリーゼのためにのようなポピュラーで短い曲でもこのように高い構成力を示すのですから、他の曲でどんな演奏をするのか期待します。彼女の CD がもっと手軽に手に入ると嬉しいです。

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昨日に引き続きベートーヴェンのエリーゼのためにを聴きます。

ピアニストはアルトゥール・シュナーベル。1932 年 5 月 9 日録音。シュナーベルは 20 世紀前半の代表的なベートーヴェン弾きです。

テンポは普通。少し遅い方かも。その演奏は、教科書通り、楽譜通り? いえいえ、シュナーベルの演奏は虚飾を排し、ベートーヴェンの深さを引き出すものです。まるでベートーヴェンが弾いているかのよう。じっくりと噛みしめて一つの音も疎かにしません。メロディーとメロディーの間に入るほんの少しの「間」が音楽になっています。

シュナーベルのエリーゼのためにを聴くと、他のピアニストは何と味付けをしているのか、と思います。ベートーヴェンの素材をそのまま音にすれば、名曲は自然と名演になる。そんな説得力のある演奏です。

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ベートーヴェンのエリーゼのためにを取り上げます。

ピアニストはヴァレンティーナ・リシッツァ。2012 年 6 月 19 日、ロイヤル・アルバート・ホールでのライブ録音。ピアノはベーゼンドルファー モデル 290 インペリアル。

手垢のついたこの名曲を、正面から真っ当に演奏しています。ゆっくりとしたメロディーの運びに、深みのある音色を聴かせます。強弱を巧みに使い分け、聴衆を引き込む魅力ある演奏です。クセのある演奏はしません。誰にでもお勧めできるし、色々な「エリーゼのために」を聴きてきた人にも安らぎを与えてくれる、水準の高い演奏だと思います。

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ヴィルヘルム・ケンプの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第 23 番「熱情」を聴きます。1960 年 5 月の録音。有名なステレオ録音による全集とは別テイクです (あちらは 1964 年 9 月の録音)。

ベートーヴェンの三大ピアノ・ソナタとくれば「悲愴」「月光」「熱情」です。私は「悲愴」と「月光」はすぐ好きになったものの、「熱情」だけはどうにも好きになるポイントを見つけられませんでした。むしろ、先に「ワルトシュタイン」の方を好きになったくらいです。といっても、当時、聴いていたのはシュナーベル、ギーゼキング、バックハウスの演奏くらいのものだったのですが...

そんな私が「熱情」に目覚めるきっかけになったのが、ケンプの「熱情」でした。「熱情」で一番盛り上がる第三楽章。ケンプは 8 分 34 秒というゆっくりなテンポで弾きます。しかし、音楽とは凄いですね。ゆっくり弾いても「熱情」の良さを引き出すことができるのです。ケンプの第三楽章は、噛み締める様に楽譜をなぞり、熱いコーダへと流れ込みます。何でも速く弾けば良いってものじゃあないんですね。

ケンプの演奏で「熱情」の良さが分かってみると、手許にあったシュナーベルもギーゼキングもバックハウスも「熱情」が楽しくなりました。その後、沢山の「熱情」を聴きましたが、初めて「熱情」の感動をもたらしたケンプの演奏が私の中で色褪せることはありません。今でも、「熱情」の私的ベスト 3 を聞かれたら、ケンプの演奏を入れることに躊躇いはありません。

このゆっくりなテンポが万人に受けるか、と聞かれると困ってしまいますけどね。

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