安宅の音楽日記

タグ:ソナタ

先日、オーディオ・ショップに行ったところマリア・ジョアオ・ピリスの弾くモーツァルトがかかっていました。ピアノ・ソナタ 第8番 (第9番?) K.310 (300d)。1974 年、東京はイイノ・ホールにおける録音です。音がフォルテ・ピアノっぽく聴こえたので、オヤッと思い自宅で聴いてみました。

記録によると、録音当時、ピリスは 29 歳。使っているピアノは何でしょう。ピリスは現在でこそ、ヤマハのピアノ弾きとして有名ですが、当時もヤマハだったのでしょうか? それとも、大勢のピアニストと思じようにスタンウェイを弾いていたのでしょうか? 少くとも録音を聴くだけでは、ヤマハかスタンウェイかそれとも別のピアノなのか、私には判断できませんでした (ムムム)。

音楽に耳を傾けてみましょう。モーツァルトらしさから一歩外れた演奏です。テンポの変化、音量の変化は他のピアニストと同じように付けています。標準的と言えるでしょう。美しい音色も文句ありません。それでも、何かが別と感じます。何と言えば良いんでょう。軽い? そう軽いというのが一番しっくりくるかもしれません。音楽がフワリと軽くなっている様に聴こえる不思議な演奏です。

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今年は、大バッハの次男カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ (C. P. E. バッハ) 生誕 300 周年。それにちなんで、C. P. E. バッハのプロイセン・ソナタ (Prussian Sonatas, Wq. 48) を聴きてみます。

演奏はボブ・ファン・アスペレン。ハープシコードによる演奏です。

プロイセン・ソナタは全 6 曲から成り、1 曲 10〜15 分程度の演奏時間です。

全体的に明るめの曲調。ハープシコードの音が耳にキツくないのは、アスペレンの妙技でしょうか。モーツァルトのようなメロディー・メーカーではありませんが、バッハの系譜に繋がる構成の確かさと、C. P. E. バッハの時代を反映するかのような楽器の音量変化に頼らない曲作り (当時、まだピアノはありませんでした) には心をホロリと酔わせる楽しみがあります。

C. P. E. バッハは沢山クラヴィーア曲を残したそうなので、他の曲も聴いてみたいです。

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ブラームスのヴァイオリン・ソナタと言えば、ベートーヴェンのいくつかのヴァイオリン・ソナタ、もしくはフランクの唯一のヴァイオリン・ソナタと並ぶ名曲です。今日は第 3 番をヴォルフガング・シュナイダーハンのヴァイオリン、カール・ゼーマンのピアノで聴いてみます。録音は 1957 年 11 月です。

シュナイダーハンのヴァイオリンの音はどちらかと言えば武骨でしょうか。例えば第二楽章の冒頭などを聴くともう少し柔らかく演奏できないものか? と思います。一方でクライスラーの演奏に聴く様な繊細な高音も聴かせてくれます。

この CD の聴き所は、シュナイダーハンとゼーマンの呼吸でしょう。お互いが抜群のサポートをしていて、ヴァイオリン・ソナタという演目の音楽性を数段上に引き上げています。息の合ったヴァイオリン・ソナタの演奏を聴くのは楽しいものです。

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ヴィルヘルム・ケンプの弾くベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第 23 番「熱情」を聴きます。1960 年 5 月の録音。有名なステレオ録音による全集とは別テイクです (あちらは 1964 年 9 月の録音)。

ベートーヴェンの三大ピアノ・ソナタとくれば「悲愴」「月光」「熱情」です。私は「悲愴」と「月光」はすぐ好きになったものの、「熱情」だけはどうにも好きになるポイントを見つけられませんでした。むしろ、先に「ワルトシュタイン」の方を好きになったくらいです。といっても、当時、聴いていたのはシュナーベル、ギーゼキング、バックハウスの演奏くらいのものだったのですが...

そんな私が「熱情」に目覚めるきっかけになったのが、ケンプの「熱情」でした。「熱情」で一番盛り上がる第三楽章。ケンプは 8 分 34 秒というゆっくりなテンポで弾きます。しかし、音楽とは凄いですね。ゆっくり弾いても「熱情」の良さを引き出すことができるのです。ケンプの第三楽章は、噛み締める様に楽譜をなぞり、熱いコーダへと流れ込みます。何でも速く弾けば良いってものじゃあないんですね。

ケンプの演奏で「熱情」の良さが分かってみると、手許にあったシュナーベルもギーゼキングもバックハウスも「熱情」が楽しくなりました。その後、沢山の「熱情」を聴きましたが、初めて「熱情」の感動をもたらしたケンプの演奏が私の中で色褪せることはありません。今でも、「熱情」の私的ベスト 3 を聞かれたら、ケンプの演奏を入れることに躊躇いはありません。

このゆっくりなテンポが万人に受けるか、と聞かれると困ってしまいますけどね。

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