バート・バカラック。それはメロディー・メーカーの代名詞。心地良いメロディーを沢山作ってきた作曲家としてのイメージが残ります。「雨にぬれても」「プロミセス・プロミセス」「アルフィー」等々。

そんな彼が 28 年振り (?) に出したアルバムがこれ。「At This Time」。1 曲目の Please Explain からして、えっ? これがバカラックの音楽?! と疑ってしまいます。ドラムで始まり、フュージョン? 電子ピアノ? 歌うのはバカラック本人かしらん? 嗄れた声。「Please Explain (どうか説明して下さい)」と何度も訴えかけてきます。

往年のバカラック・ファンなら拒絶反応を起こすかもしれません。

しかし、アルバムを通して (そして昔のバカラックを頭から振り払って) 音楽を聴くと、ちょっと病み付きになります。若くて甘いバカラックはここにはいなくて、大人でビターで痺れるバカラックがここにいます。