ゲイリー・グラフマンの RCA 録音集大成ボックス 24 枚組からショパンのバラード 第1番を聴きます。

グラフマンはラン・ランやユジャ・ワンの師匠。アメリカを代表するピアニストながら、1979 年に右手を故障したそうです。左手のためのピアノ協奏曲を演奏したり、教育活動を行なったりして、現在も現役、なのかな。

ここに聴くグラフマンのバラードの第1番は 1958 年録音。

柔らかなニュアンス。ショパンを「技術」だけで弾いている人間には出せない音楽です。強弱の付け方、間の取り方。ポーランドのショパンではありませんが、これはショパンの音楽です。

後半部。グラフマンのテクニックは冴えたものです。ここも技術に溺れることなく、音楽を第一にクライマックスに向かいます。グラフマンより技巧的に優れ、スピードの早い演奏はあります。その中にあって、ショパンの風情を失なわない点でグラフマンの演奏は魅力的です。こんなに良い演奏が、ピアニストが、知名度低いのはもったいないです。