「異国の丘」がレコードとして発売されたのは 1948 年ですが、戦中、満州に居た吉田正によって作曲されました。1943 年頃と聞いています。戦後にはシベリア抑留の兵士の間でも歌われたと聞きます。正に異国に在って、日本へ戻る日を待ち望んでいた吉田正の心を反映した曲となっています。哀愁にあふれる曲です。

戦争中には、軍歌に数えられるような政府のプロパガンダ的な曲とは別に、一個人によって作曲されたり自然と広がったりする曲がありますね。南北戦争における D. E. ハメットの「ディキシー」、アメリカ独立戦争における民謡「ヤンキー・ドゥードゥル」、フランス革命におけるルージェ・ド・リールの「ラ・マルセイエーズ」、等々。

こういった曲は、戦争という悲惨さの隣合わせでありながらも、どこか自立的で「戦争」から切り離されても生きてゆく「曲」としての生命力があるように思います。