シューマンのピアノ曲集「森の情景」を聴きます。演奏はギーゼキングです。CD 盤は廃盤のようで、値がつり上がっていたので、MP3 版を貼っておきます。

シューマンのピアノ曲の中ではあまり知られていない方でしょうか。今日、むしょうに聴きたくなったので愛聴盤であるギーゼキングの CD を取り出して聴いています。

音楽としては「子供の情景」のような明るさと「クライスレリアーナ」にある一種の狂気がわずかに垣間見える中に、熟年してより深い描写が込められた作品と言えるでしょう。聴く分には技術的に難しい曲には思えないのですが、シンプルさゆえに描写力が問われる難曲だと感じます。

ギーゼキングのこの CD は 1951 年の放送録音です。モノラルで少し音を外しているところもあります。今ならもっと良い録音の CD も、キズのない演奏もあるでしょう。しかし、こういうシンプルにして深い曲こそギーゼキングが得意とするところです。多少の演奏ミスなど気にしていられましょうか。特に前半の「ドイツの森」を思わせる演奏描写には今のピアニストにはない味があります。

ギーゼキング盤はファースト・チョイスにはお勧めできません。録音が良く、演奏の上手い CD を聴いて、もう一つ遊んでみたい、という方。どうぞ。